「新NISAの口座は開設した。でも、どの銘柄を選べばいいのか分からず、結局そのまま放置している」——もしあなたがこの状態なら、それは投資の知識不足ではありません。判断に使える脳のエネルギーが、すでに仕事で使い果たされているだけです。

私自身、2023年6月に旧NISAで月3万円の積立投資を始めた時、不安で何度も評価額を確認していました。貯金から資金を移すことへの恐怖、銘柄選びへの迷い。しかし今振り返ると、その判断疲れこそが最大の敵でした。
実は、ダイエットも資産形成も、成否を分けるのは「知識量」でも「意志の強さ」でもありません。重要なのは、日々の判断を限りなくゼロに近づけ、自動で回り続ける仕組みを構築することです。
私は2018年から体重を記録し続けています。2022年に最大107.6kgだった体重は、現在95.0kgまで減少しました。この7年間で学んだ最も重要な教訓は、「完璧な1日」を目指すのではなく、「崩れない設計」を作ることの価値です。
新NISAで約350万円を運用する現在、私が実践しているのは、健康管理と資産形成で共通する「判断を捨てる技術」です。コンビニで何を買うか迷わない。投資のタイミングを考えない。この記事では、脳科学と行動経済学の知見をもとに、あなたの認知リソースを節約しながら、健康と資産を同時に育てる具体的な設計図を提示します。
目指すべきは、意志力に頼らず、淡々と続けられるシステムです。
ダイエットの成否は「意志」ではなく「判断の数」で決まる
結論から言います。ダイエットを成功させる唯一の道は、頑張ることをやめ、健康管理を「判断のいらないシステム」に落とし込むことです。
多くの人が「自分には自制心がない」と自分を責めますが、それは間違っています。本来、ダイエットは特別なイベントではなく、歯磨きのように「意識の外」で行われるべきものです。仕事で重要な決断を繰り返すあなたが、さらに「何を食べるか」「いつ運動するか」という判断を自分に強いてはいけません。

心理学では、判断を繰り返すと注意力や意思決定の質が徐々に低下する現象を「判断疲れ(decision fatigue)」と呼びます。私たちは1日に約3万5,000回もの判断を行っており、その大半を仕事や日常生活で消費しています。
私が体重記録を7年間継続できているのは、意志が強いからではありません。毎朝、体組成計に乗るという行動を「判断が入り込む余地のないルーチン」として設計したからです。起床後、トイレを済ませたら体組成計に乗る。データは自動でスマートフォンに記録される。この一連の流れに「今日は測ろうか、やめようか」という選択肢は存在しません。
同様に、新NISAでの投資も「毎月1日に自動で積立」と設定した瞬間、判断から解放されます。評価額を確認する回数が減り、相場の上下に一喜一憂する精神的コストも消えていきます。
目指すべきは、意志力の残量を気にせず、勝手に体が整い、勝手に資産が積み上がっていく「自動操縦」の状態です。これは怠惰ではなく、脳の仕組みに逆らわない合理的な戦略なのです。
なぜ「頑張り」は必ず挫折を招くのか
その理由は、人間の「判断リソース」には限界があるからです。
行動科学において、脳の前頭前野が1日に処理できる決断の量には上限があることが知られています。これを「判断疲れ(decision fatigue)」と呼びます。私たちは1日に約3万5,000回もの判断を行っており、特に責任ある立場であれば、日中の業務でそのリソースのほとんどを使い果たしています。
実際、多くのビジネスパーソンが経験しているはずです。午前中は冷静に判断できていた案件が、夕方になると「もう後で考えよう」と先送りしてしまう。会議が続いた日の帰り道、コンビニで本当は買うつもりのなかったスイーツをカゴに入れてしまう。これらは意志の弱さではなく、脳の判断リソースが枯渇しているサインなのです。
生理学的限界:疲弊した脳は快楽を優先する
脳は体と同様、糖分からエネルギーを得ています。フロリダ州立大学の社会心理学者ロイ・バウマイスター氏の研究によると、判断を繰り返すと脳のエネルギーが枯渇し、論理的な選択よりも「手近な快楽(高カロリー食など)」を優先するようにプログラムされていることが分かっています。
これは意志が弱いのではなく、脳の省エネモードが発動しているだけです。帰宅後にコンビニで揚げ物を選んでしまうのは、あなたの判断力ではなく、脳の生理的な防衛反応なのです。
少し脱線しますが、私自身も以前は「なぜ夜になると甘いものが欲しくなるのか」と自分を責めていました。しかし、これは脳が「もう判断できません。とにかく糖分をください」と悲鳴を上げている状態だと理解してから、夜のおやつを「判断の問題」ではなく「システムの設計ミス」と捉えるようになりました。
「考える回数」が多いほど、継続は困難になる
新NISAでも同じです。私自身、最初から積立投資と決めていたものの、「積立日は月初がいいのか、給料日直後がいいのか、それとも月末か」と悩んでいた時期がありました。そして評価額を何度も確認しては、「このタイミングで買って大丈夫だろうか」と不安になる日々を過ごしていました。
しかし、積立日を固定して自動設定にした瞬間、その判断から解放されました。考える必要がなくなり、相場の上下を気にする時間も自然と減っていきました。
体重記録も同様です。「今日は測ろうか、やめようか」と考える余地を残すと、1回の判断は小さくても、365日積み重なれば膨大な認知的負担になります。だからこそ、私は「起床→トイレ→体組成計」という物理的な動線を固定し、判断が入り込む隙間を徹底的に排除しました。
「考えない」は怠惰ではなく、脳の仕組みに沿った戦略
ここで重要なのは、判断を減らすことは「手抜き」ではなく、限られた認知リソースを本当に重要な決断(仕事や家族との時間)に集中させるための、極めて合理的な戦略だということです。
歯磨きをする時、あなたは「今日は何回磨こうか」「どの歯から磨こうか」と考えません。同じように、健康管理も資産形成も「意識の外」で自動的に回る状態を作ることが、長期的な成功の唯一の道なのです。
次のセクションでは、この「考えない仕組み」を具体的にどう作るのか、4つの設計図をお見せします。
「考えなくていい仕組み」を作る4つの設計図
では、具体的にどうやって判断を減らし、システム化すればいいのでしょうか。ダイエットと資産形成の両方で使える、4つのステップを紹介します。
1. 「If-Thenプランニング」による判断の外部化
「もし〜なら〜する」というルールをあらかじめ設定し、脳の実行機能を外部に預けます。これは心理学で証明されている強力な手法で、判断が必要な瞬間を「自動実行」に変換できます。

食事の例:
- 「朝食は納豆・卵・ご飯」と固定し、毎朝「何を食べようか」と悩む時間を削除します
- 「パンかご飯か」「目玉焼きかスクランブルエッグか」といった小さな判断も、すべて排除します
投資の例:
- 「毎月25日(給料日翌日)に自動で3万円を積み立てる」
- 「評価額を見ることはあっても、判断を伴う確認は月末だけ」
ここで重要なのは、ルールを作ることよりも、そのルールを「考えずに実行できる環境」に落とし込むことです。私の場合、証券口座の自動積立設定をした後、「じっくり時間を取って評価額を確認するのは月末だけ」とルール化しました。高配当株も保有しているため、日々見ることはありますが、「今買うべきか」「今売るべきか」といった判断を伴う確認は月末に集約しています。
少し極端に聞こえるかもしれませんが、これは「意志力で我慢する」のではなく、「判断のタイミングをルール化する」という設計思想です。
2. スマートデバイスによる「数値の脱感情化」
体重計の数字に一喜一憂するのは、データの読み解き方を間違えているからです。
私が7年間記録を継続できているのは、タニタの体重計とスマートフォンを連携させ、記録を完全自動化したからです。体重計に乗れば、データは自動でアプリに転送されます。私がやることは「乗るだけ」。記録する、グラフを見る、分析する、といった判断は一切ありません。

重要な視点の転換:
- 1日の増減(水分の変動)は無視する
- 週単位、月単位のトレンドだけを見る
- 資産運用のチャートを見るように、冷静に「システムの状態」を把握する
投資でも同じです。証券会社のアプリには「損益グラフ」が表示されますが、日々の変動に反応すると判断疲れが加速します。大切なのは、「今月も自動で3万円が積み立てられた」という事実だけです。
ここで不安に感じる方もいるかもしれません。「数字を見ないと、改善できないのでは?」という疑問です。安心してください。週に1回、決まった曜日にトレンドを確認するだけで十分です。毎日見る必要はありません。それどころか、毎日見ることで余計な判断(今日は食べていいか、今日は買い増すべきか)が発生し、システムが崩れるリスクが高まります。
3. 代謝を自動制御する「睡眠と光」のハック
無理な運動よりも、食欲を司るホルモンを整える方がはるかに効率的です。
睡眠不足は、翌日の判断力を著しく低下させます。さらに、食欲を増進させるホルモン(グレリン)が増加し、満腹感を感じにくくなることが科学的に証明されています。つまり、睡眠を削って運動する時間を作るより、しっかり眠る方が体重管理には効果的なのです。

朝のルーティン: 起床後に日光を浴び、タンパク質を摂る。これだけで15時間後の眠気の質が決まり、翌日の暴走する食欲を抑えることができます。私の場合、「カーテンを開ける→体重計に乗る→プロテインを飲む」という3ステップを固定しています。
夜の入浴: 寝る90分前に湯船に浸かり、深部体温をコントロールして深い睡眠を予約します。私の場合、だいたい21時前後に入浴すると決めています。厳密にアラームで管理しているわけではありませんが、時間帯を固定することで「今日は入ろうか、やめようか」という判断を排除しています。
この「睡眠最優先」の設計は、実は資産形成にも直結します。判断力が回復した状態で仕事に臨めば、より質の高い成果を出せる。昇給や昇進につながれば、投資に回せる資金も増える。すべては連動しているのです。
4. 資産形成としての「長期投資」視点
ダイエットを短期の「削り取り」ではなく、人生の「積立投資」と捉え直します。
1日100kcalのマイナスを淡々と積み上げる。この「退場しない設計」こそが、数年後に大きな健康資産としての配当(パフォーマンスの向上)をもたらします。
新NISAも同じです。月3万円を年利5%で20年間運用すると、元本720万円が約1,230万円になります(複利効果)。この計算に「今月は相場が悪いから止めよう」という判断は存在しません。淡々と続けることだけが、唯一の正解です。

私が投資を始めた2023年は、「今は高値なのでは?」「もう少し待った方がいいのでは?」と自分の中で何度も問いかけていました。しかし、「いつ始めるか」を考え続けることこそが、最大の機会損失だと気づきました。不安はありましたが、自動積立を設定し、判断を放棄した。結果として、株高の恩恵を受けることができました。
ここで大切な考え方: 完璧なタイミングを狙うことは、判断を増やし、行動を止めます。「今日から始める」ことが、最も合理的な選択なのです。
次のセクションでは、今日からできる最小の一歩と、よくある迷いへの回答をお伝えします。
今日から始める「判断を捨てる」一歩
最後に繰り返します。あなたの意志力は、仕事や大切な人のために残しておいてください。
健康管理において、完璧な1日は必要ありません。それよりも「崩れようがない設計」を一つずつ作ることの方が、はるかに価値があります。
私が7年間体重記録を続け、約12kgの減量を達成できたのは、特別な努力をしたからではありません。「起床→トイレ→体重計」という動線を固定し、判断を排除したからです。新NISAで約350万円を運用できているのも、毎月3万円の自動積立から開始し、「今月はどうしようか」という判断から解放されたからです。
今日からできる最小行動は、**「明日の朝食を今この瞬間に決めて、迷う余地を消すこと」**です。納豆・卵・ご飯でもいい。プロテインとバナナでもいい。重要なのは、「明日の朝、何を食べようか」と考える判断を、今日のうちに終わらせることです。
そして、新NISAをまだ始めていない方は、証券口座を開設し、自動積立の設定をするだけで構いません。金額は月1万円でも5,000円でも問題ありません。一発逆転を狙わず、淡々とシステムを運用する。その静かな積み重ねだけが、あなたを理想の状態へと運びます。
FAQ:よくある迷いへの回答
読者の方から寄せられる疑問や、私自身が経験した迷いについて、いくつか回答します。
Q1:「朝食を固定すると、栄養が偏りませんか?」
結論から言うと、偏りません。むしろ、毎日違うものを食べようとして判断疲れを起こし、夜に暴食してしまう方がよほど栄養バランスを崩します。
朝食で「タンパク質・炭水化物・発酵食品」を確保できていれば、昼食や夕食で野菜や他の栄養素を補えば十分です。完璧な朝食を目指すより、「続けられる朝食」を設計することが優先です。
もし栄養面が気になる方は、週末だけバリエーションを持たせるという選択肢もあります。平日5日間は固定、土日は自由。このように「余白を残す日」を設計に組み込むことで、システムの柔軟性が高まります。
Q2:「新NISAの積立額は、どう決めればいいですか?」
これは家計の状況によって異なりますが、一つの基準は「生活費3ヶ月分の貯金を確保した上で、余剰資金から始める」ことです。
無理に上限まで使い切る必要はありません。月1万円でも、20年続ければ元本240万円が約411万円になります(年利5%想定)。重要なのは金額ではなく、「システムを止めずに続けること」です。
私は毎月3万円の自動積立から始めました。収入が増えたら、その時に増額すればいい。今は、今の自分にとって「痛みのない金額」で設計することが最優先です。
Q3:「体重が停滞している時は、何かを変えるべきですか?」
2週間以上のトレンド(移動平均)が完全に横ばいでない限り、何も変える必要はありません。
体重は水分や便の影響で日々2kg程度変動します。「昨日より増えた」「今週は減らなかった」という短期的なノイズに反応すると、余計な判断が発生し、システムが崩れます。
資産運用と同じで、短期的な変動で「解約」せず、設計を信じて継続することが重要です。私も107kgから95kgまで減らす過程で、何度も停滞期がありましたし、増えたりする時期もありました。しかし、システムの微調整を続けた結果、必ず動き出しました。
もし本当に2ヶ月以上完全に横ばいなら、その時初めて「睡眠時間を30分増やす」「朝食のタンパク質を10g増やす」といった小さな調整を一つだけ試してみてください。複数の変更を同時に行うと、何が効いたのか分からなくなります。

Q4:「判断を減らすと、人生がつまらなくなりませんか?」
これは本質的な問いです。しかし、考えてみてください。
「今日は何を食べようか」「今月はいくら投資しようか」という判断に、あなたの人生の充実感がありますか? むしろ、これらの判断から解放されることで、本当に大切なこと(家族との時間、仕事での創造的な挑戦、趣味の探求)に認知リソースを注げるのではないでしょうか。
私は朝食を固定してから、朝の時間に余裕が生まれました。新NISAを自動化してから、相場を気にする時間が減り、仕事に集中できるようになりました。判断を減らすことは、人生を豊かにするための戦略なのです。
今日のあなたを、少しだけ強く。
健康と資産、この2つは「今日だけ頑張る」ものではありません。淡々と、静かに、システムとして回り続けるものです。

あなたが今日、判断を一つ減らす設計をするだけで、明日からの人生は少しだけ軽くなります。その積み重ねが、数年後、数十年後のあなたを支える基盤になります。
完璧を目指さず、崩れない設計を。 意志に頼らず、仕組みで動く。
これが、Gorilla LABOが提案する、健康と資産を同時に育てる技術です。
今日のあなたを、少しだけ強く。— ゴリラ博士 / Gorilla LABO

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